梅雨が明けました!
いよいよ、夏がやってきましたね。
林業の世界で、「夏」と言えば「下草刈り」を指します。
この季節、当社ではサマータイム期間中で、班によって異なりますが、5時〜6時には仕事が始まり、13時〜14時には解散となります。
そして、明日は東京美林倶楽部の第1期会員様、1年目の下草刈りイベントが開催されます。
1年目ということもあり、下草はあまり生えていませんが、春に植えた苗木の成長を確認する絶好の機会となります。
会員の皆様に再開できることを楽しみにしております。
さて、東京美林倶楽部の会員様とは30年の契約を結んでおります。
その間に、3本の苗木の植えつけ〜下草刈り〜枝打ち〜間伐のイベントに参加していただき、
ご自身で植えていただいた苗木を30年かけて育てていきます。詳しくはこちらをご覧ください。
人の手によって植えられた苗木のみならず、自然に実生として生えてきた苗木も同じですが、成長する過程で様々な障害が立ちはだかります。
例えば、周りに雑草が生え苗木の成長を阻害したり、ツルが巻きついてきて苗木を締め付けたり。特に人の手で植えられた苗木は、畑育ちのため、その土に馴染んで新しい根がしっかりと張るまでの間は、周りの野生種の成長力に負けてしまいます。
そのため、苗木がその土地に根付き、旺盛な成長を見せる植えつけ後、5年〜6年の間は2回/年ほど下草を刈ってあげる必要があり、6〜7年目位になると1回/年で済むようになってきます。
通常私たちは下草刈りでは刈払機を使用しますが、会員の皆様にはカマを使っていただきます。
「下草刈り」の目的は、苗木が周りの草の成長に負けないように、周りの草を刈ってあげることに尽きます。
下草刈りの期間が終わり、苗木の太さがビール瓶(大瓶)程度になってくる(7〜8年目)と枝打ちが始まります。
全国森林組合連合会様のHPでわかりやすく説明されていますのでこちらをご覧ください。
また、さらに詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。(他県の情報ですが、考え方は大体このような感じです。)
「枝打ち」の目的は大きく3つあります。
①林内空間を明るくし、風通しを良くする。(植えた木の下に広葉樹が生えるようになる)
②無節の良材を仕立てる。(柱にした場合、節が見えない。)
③通直完満な材に仕立てる。(木は枝が生えた部分から細くなる。枝を打ち上げることで、太さの揃った材が採れ、歩留まりが良くなる)
枝打ちは数年おきに計4回行います。
会員の皆様にはノコギリを使って作業していただく予定です。(もちろん安全に指導いたします!)
高いところが苦手!という場合はスタッフが代わりに行いますので、見学していただきましょう。
枝を落とした痕跡(傷)は年々木の成長とともに巻き込まれていきます。
木に傷を付ける行為(厳密に言うと枝を傷つける)になるため、通常、木の成長が止まっている晩秋から冬の間に行います。
東京美林倶楽部では、木の成長具合を見ながら、大体下記のようなの基準で枝打ちを行っていく予定でいます。
①根払い(約2m) ・・・はじめは根元に立って届く範囲の枝を落とします。
②3m打ち(約3.5m)・・・2mのハシゴをかけて枝を落とします。これで将来3mの無節の柱材が採れます。
③5m打ち(約5m) ・・・約3.5mのハシゴをかけて枝を落とします。これで将来4mの無節の板材が採れます。
④6m打ち(約6.5m)・・・約5mのハシゴをかけて枝を落とします。これで将来3mの無節の柱材が2本採れます。
近年、残念ながら枝打ちは行われなくなってきました。
それは、無節の柱材等へのニーズがなくなってきているからでしょうか。
また、枝打ちの目的が木の価値を高めることにあるため、間伐作業のように補助金が手厚くありません。(条件さえ整えば山主さんの負担ゼロというケースも多々あります。)
枝打ちの場合、どうしても山主さんの費用負担が発生してしまうことも関係しているかもしれません。
枝打ちは「木を仕立てる」という大切な文化でもありますので、東京美林倶楽部では丁寧に続けたいと思います。
そして、6mの枝打ちが終わる頃には、植えた木は約20年生くらいになっています。高さは12m〜15m程でしょうか。
しばらくそのまま山においてあげます。
ツルが上がってこないように、木の様子は定期的に見る必要がありますで、監視は怠りません。
そして、25年目に初めての間伐。幹周りは15cm前後。
3本植えていただいた内の1本を伐採します。
また時間をおいて、30年目に2本目の間伐。
幹周りは18cm前後でしょうか。
ノコギリを使って一本ずつ丁寧に伐採します。
もちろん、スタッフが安全に指導いたしますので、ご安心ください。
条件が整えば、チェンソーでの伐採もできるかもしれません。(もちろんチャップス等の安全フル装備にて!)
伐採した木は、山から搬出し、近くの土場に移動させます。
土場から先は、その使い道によって、製材所さんや家具屋さんをご紹介いたします。
とはいえ、何に使いましょうか。。。
植えた頃には小さかったお子さんが大きくなって結婚、なんて言うタイミングが近いようなら、引き出物に加工してもいいかもしれません。
新しい家を建てる(リフォームする)というタイミングなら、家の中のワンポイントで使ってもいいかもしれません。
もちろん、家具として世代を超えて使い続けるのも素敵ですね!
30年という時をかけて育てた木です。大切に使い続けたいですよね。
木の使い道については、改めて別の機会にご案内いたします!
このように、30年かけて、会員の皆様と一緒に1本1本丁寧に育ててきました。
いよいよです。
30年前に植えていただいた3本の内、残りは1本です。
植えつけから30年。
美林に向けて1番手がかかる期間を会員様と一緒に育ててきました。
きっと様々な自然の脅威を乗り越えてきたことでしょう!(自然の脅威につきましても、また別の機会に。)
この30年という大切な期間をしっかりと丁寧に手をかけてあげるかどうかが、将来の山の未来を左右します。
この大切な期間に手を抜いてしまったら、取り返しのつかないことになってしまいます。
この大切な30年を、
適切に手入れをするために、
皆様にその費用を負担していただき、
その代わり、30年の「木を育むストーリー」を提供する。
これが、東京美林倶楽部が30年という会員制度をとっている理由になります。
その後は美しい林に向けて、
会員様から私たちがバトンを受け取り、
ゆっくりと間伐を繰り返しながら、
50年、80年、100年へと続く「東京美林」を目指していきたいと思います。
(未来の社員が引き継いでくれるはず。。。)