talkbannar
去る2015年の11月22日、なごやかであたたかい手づくりイベント、
「ひのはら 秋の感謝祭」が開催されました。
お山の秋の冷たい風にも負けず、薪割りにバームクーヘン作りに、
夢中で遊ぶ子どもたちの姿も印象的でした。

さて、トークスペースでは、大入り?と言って差し支えない数の
お客様に囲まれ、「30年を楽しむ」をテーマに、東京チェンソーズ
代表の青木亮輔さんとお話しさせてもらいました。
畳にお座布団で、リラックスした雰囲気です。

聞きに来てくれたみなさんの中で東京美林倶楽部の会員さんは5名ほど。
ふたりの自己紹介のあと、まずは青木さんに、
東京美林倶楽部の概要を、スライドを使って説明してもらいます。
その後トークに移りました。

chap1東京美林倶楽部の入会資格は、
美しい木や林に想いを馳せ、30年という時間を楽しめる方」。

青木さんは「林業は、妄想が得意な人に向いている」と
過去にも発言していますが、つまりは、
一緒に妄想してくれる方」ということですね。
…というところで会場から笑いが。

なにかと早く結果が求められる時代にあって、30年は、遠いです。
けれど林業においては、木を育てるのに"最初の"大事な30年間
確かに、「妄想力」は必要そうですね。
30年後の自分と自分の森を思う。自分の木の使い道を思う。
なかなかロマンもありそうです。

chap2会員さま側から見ると、まさに「わたしの木が森になる」このプロジェクト、
東京チェンソーズや、檜原村という地域とつながりができ、材としての木を
愛おしむきっかけにもなるのではないかと思います。

では、運営主体である東京チェンソーズにとってはどうでしょう。
通常の林業の場合、いわゆるエンドユーザーの顔が見える仕事は珍しいですよね。
普段は請負仕事が多い東京チェンソーズ、山の持ち主さんに会うことなく
終わる現場も少なくありません。

それに対し、1本1本植えるところから一緒に作業した会員さまとその苗木、
どうしても従業員の思い入れは強くなり、作業するモチベーションは高くなるそうです。

普段から人一倍丁寧な作業を心がけている、それがチェンソーズの持ち味とは言いつつも、
名前のついた苗木に対する思いはさらにひとしおのようです。

想いが込められた苗木。

苗木1本1本に、それぞれの想いが込められています。


chap3
同時に、木が生き物である以上、100%無事に育つ保証はありません。

台風や積雪に見舞われるリスクだって避けられない。
そんなときのバックアップとして育てている苗木もあるそうで、青木さんが、
「3本の木は、みなさんに託されたわが子だと思って大事に育てますが、
それでももしもの場合は、そちらから養子をもらってくるような感じで
やはり大事に…」で、また会場から笑いが。青木さん、おもしろい。

でも、確かに起こりえます。
木に限ったことではありませんが、完成したモノを買ってくる文化が
定着した世の中では、素材がどのような工程を経てモノになっていったのか、
意識する機会が失われています。モノになる前の段階では、
それが生き物であるケースは少なくありません。

そうしたところに思いを馳せるにもまた、「妄想力」の出番でしょうか。
妄想力を持つことは、人として豊かなことだと感じられてきました。


斜陽産業という不名誉な呼ばれ方をして久しく、第一次産業の中でも

とりわけ参入障壁の高い林業で起業した青木さん。

子どもの頃から、みんなで同じことをするのも、既定路線を行くのも
苦手だったそうです。植村直己に憧れ、探検部目当てで大学に入り、
それにのめり込んだというエピソードをちょっとだけ
(話し出すと途方もなく長いそうです…)披露されました。
未知なる道を行く。お聞きのみなさんも、きっと「なるほどそうか」
と思ったことでしょう。

日本の林業は、長らく補助金で成り立っているのが実情です。
30代中心の若いメンバー擁する東京チェンソーズとしては、
補助金のみに頼らない、クリエイティブで活力ある林業を目指して、
そのために、生活者に求められる林業を模索し続けていると、
青木さん、ここの語り口は熱かったです!

会員参加型のプロジェクトである東京美林倶楽部は、
これまでの林業にはなかった、マーケティングの視点で始められた
取り組みでもあったのですね。

chap5
森と人を、山村と都市を、モノ(プロダクツ)と人、そして、

先代から受け継いだ財産を次の世代に。
3本の木と30年で、つながり、つなげるプロジェクト「東京美林倶楽部」。
東京チェンソーズさんと妄想を共にする人が増えて、
間伐した木を思い思いのカタチに変えて、
みんなの木が、東京の村に美しい林を成して…。

数十年先の未来を思うとき、そこに森を見る人が増えること、
こころに緑を宿す人が増えること。
青木さんの言う「妄想」は、つまりは英語で言うところの「イマジン」なのですね。

最後に、このトークイベントの司会をしてくれた東京チェンソーズの
女性社員第一号・飯塚潤子さん(新婚♡)に林業の醍醐味を尋ねたら、
「山で食べる飯はうまい、昼寝は最高、仕事のあとのシャワーが天国。
そういうシンプルな幸せを存分にかみしめられること!」と即答。
これぞ神髄ではないですか。

森の豊かさと、人の豊かさが、重なりました。

東京チェンソーズの若者メンバー達。

東京チェンソーズの若者メンバー達。

 

kobayashi

青木さんの愛犬、マルコとともに。

(文章:みつばち社 小林奈穂子)

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さらに詳しく青木の妄想につきあってくださる方はこちらから!→「青木ブログ」

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