青木ブログ

「東京美林倶楽部」のはじまり

こんにちは。青木です。
下刈シーズンを迎え、檜原村にも少しずつ、夏の気配が漂ってきました。これから10月までの約3ヶ月間、苦しい下刈三昧の日々を過ごすこととなります。

皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
昨年の秋に新事業として「東京美林倶楽部」の第1期会員を募集し、おかげさまで満員御礼で春の植栽イベントを終えることができました。この場をお借りし、厚く御礼申し上げます。
これから先、30年間のお付き合いとなりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

「東京美林倶楽部」の企画が芽吹いたのは2012年夏のことでした(当時は違う名前でした。。。)。それから実現まで、3年かかりました。
皆さまから、なぜ「東京美林倶楽部」を企画したのですかと聞かれることも多いので、この機会にその誕生秘話を少しご紹介したいと思います。

そもそも、当社東京チェンソーズは創業時に3つの目標を立てました。

①月給制・社会保険完備・賞与有・明確な昇給制度(全国的には7割以上が日給月給)
②明るい儲かる林業(当時暗い話題が多かった)
③補助金のみに頼らない林業(補助金をもらうことが目的となっていた)

この「東京美林倶楽部」は③を解決するであろう、ひとつのアイデアでした。
2011年の冬、私たちはテレビの取材を受け、年明けの放送を見た方から「投資」の申し出を受けました。
「私たちの代わりに東京の森林環境を守ってくれてありがとう」という東京は恵比寿にお住いの方でした。

当時、個人事業でしたので、「出資」はお受けできない旨をお伝えすると、「志金」としてということになり、ありがたく頂戴いたしました。
また、他の方からも同様の思いが綴られた手紙とともに、お金が入っており、「皆さんで美味しいものを」と書かれていました。

そんな嬉しい出来事があり、そのような思いを持った方たちがいらっしゃるのであれば、その受け皿になるような事業ができないかと考えるようになりました。
しかし、日々の仕事に追われ、いいアイデアが浮かぶこともなく月日がすぎていきました。

そんなことがあった年の夏(2012年)、下刈りをしながら何の気なしに「補助金のない林業」について考えていました。
もともと、林業についてあれこれと妄想することが好きなタイプなので、車を運転しながらであったり、電車の中であったり、トイレの中などなど。

その時は、暑い最中に下刈りをしている時でした。
「補助金をもらわない林業」を考えていたところ、ふと「何をしてもいいんだと」変換されました。
補助金をいただくためには、その基準を満たさなければならないため、どうしてもその基準の中でしか動けなくなってしまいます。

様々なジャンルの企業が、新しいニーズを捉えて、または新しいニーズを作り出すため、自由に様々な企画を行っています。
既成概念にとらわれがちだけど、林業も同じではないかと考えたのです。

まずは、林業や森林に対するニーズは何なのか考えました。
今まで、会社としてホームページやイベントで、多くの都市住民の方との接点があった中で薄々と感じていたのですが、なんとなく、木材利用ではないなと考えていました。

東京近郊の人は、
①環境意識が高い・・・森林環境保全に貢献したい
②体験が好き・・・街ではできない体験をしてみたい
だろうと予測できました。

ちょうどそのころ、東京都の都政モニターアンケートが発表され、大まかに以下の結果が出ていました。
それによると、都民のニーズは順に、
・自然環境保全に関すること・・・45%
・自然体験に関すること・・・31%
・木材生産に関すること・・・3%
でありました。※詳細はこちらをどうぞ。

ニーズの次は、マイナスとプラスは背中合わせということで、林業が抱える課題を考えてみました。
なぜ「林業経営がなぜ難しいか」というお題を自分に課したところ、大きく2つに集約されました。

①植林から収穫までのスパンが長い・・・常に将来(50年以上先)の予測不能な木材価格に左右される。将来の木材需要も不透明。
②先行投資型・・・苗木代から育林費用が先行投資としてかかる(東京では1haあたり平均400万円以上)

ということは、
先にお客様を見つけて
先にお金をいただく仕組みを作れば解決できるなと考えました。
そして、そのニーズと課題解決を合わせると「東京美林倶楽部」の仕組みの大枠ができあがったのです。

入会金50,000円(年会費1,000円)でご入会いただき、(先にお客様を見つけて、お金をいただく)
3本の苗木を植えるところから始まり、30年一緒に育てていく。(自分の木を育てる体験機会の提供)
3本のうち2本は間伐材としてお使いいただき、残りの1本は、手入れが行き届いた状態で東京の山に残す。(森林環境保全への貢献)

このあと、さまざまな改善が加えられていきますが、最初はこのような感じで企画を立ち上げました。

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