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顔の見える木

春ですね〜
福寿草が顔を出したと思ったら、蕗の薹も終わり、朝には鳥のさえずりで目がさめる季節。
毎年変わらず同じリズムで春を迎えています。
まもなく檜原村の花ヤマブキや山桜が咲き出し、本格的な春に突入し、気持ちの良い新緑ももうすぐですね。

それは、林業では伐採シーズンが終わるということでもあります。
林業では、伐採シーズンは秋のお彼岸から春のお彼岸まで。
特に秋のお彼岸からお正月あたりまでがベストシーズンと言われます。
先日、都内で宮大工の小川三夫さんの講演を聞きましたが、特に新月前後が良いそうですね。

今年の冬は、雪も雨も少ないので空気も土も例年に比べて乾いています。
ヤマメ解禁を迎えた秋川の水量も例年に比べて少ないみたい。
だからというわけではありませんが、3月末ですが今年はまだ伐採しています。

なぜ、伐採シーズンぎりぎりまで伐採をしているかというと、それは私たちが扱う木を使って家を建てたい、内装を木にしたいと言ってくれる方々がいるから。
私の家を建ててくれた和久さんは、今度ご自身の家を檜原村に建築予定で、私たちの木を使ってくれることになっており、次のお客さんのお話もチラホラ。
また、あきがわ木工連さんは幼稚園や保育園の内装や遊具に私たちの木を使ってくれています。
これらの需要に対してまだまだ追いついておらず、十分に供給が出来ていないのが現状です。
そして、もうひとつがTOKYOWOOD普及協会です。
TOKYOWOOD普及協会は、多摩地域の工務店や設計事務所、プレカット工場、製材所、林業家が協力することで、お客様に安心した家をお届けするために設立しました。

TOKYOWOODとは、以下の条件をクリアした木材を指します。
① 東京を中心としたエリアの産地が証明できる木
② 製材後は天然乾燥
③ 構造材は4面背割れ
④ グレーディング(品質検査)合格材
  含水率SD<20%
  ヤング係数E(硬度)>90 ※ヒノキ
  ヤング係数E(硬度)>70 ※スギ

私たちはTOKYOWOOD普及協会の一員として、①の産地の証明できる材を供給しています。
特に私たちは自社の山林だけではなく、この地域に山を持つ山主さんの山も伐らせていただいております。
そのため、グレーディングをクリアする木材を見極めなければなりません。
木の肌を見て、施業(特に枝打ち)の履歴を推察します。

枝打ちの跡がくっきり。手仕事の履歴がわかります。

ぬくぬく育った木より厳しい環境で育った木の方が強度が出ますので、そのような山を見極める必要があります。
そして更には、搬出コストを抑えられ、山主さんにしっかりをお金を還元できる山であることも大事な条件です。
例えば、TOKYOWOODを使った小嶋工務店では、一階はすべてヒノキを使います。
そのような場合は、特にヒノキの良木を探す必要がるわけです。
TOKYOWOOD普及協会については、最近ホームページをリニューアルしましたので、ぜひこちらをご覧ください。

私たちはこれまで10年以上檜原村内の数々の山で伐り捨て間伐してきました。
地形、地質、日向き、山主さんの施業履歴などによって木の質は全然違います。
ヒノキが合う山、スギが合う山。同じように手入れをしても同じような品質の木が育つとは限りません。
そのようなことが伐り捨て間伐をしているとわかるようになってくるんですよね。
木の良し悪し。木目の綺麗さであったり、木目の悪さであったり。
伐る前からこの木はどっしりしていて良い木だろうなとか、逆にこの山はどの木も良くないな、などという感覚がわかるようになってきます。
伐り捨てることは、とてももったいなかったのですが、10年ほど前までは檜原村の木も少し若く、建材として使えるような木ではありませんでしたから、目利きのトレーニングだったと思えばこれからが勝負ということになります。
私たちは銘木で勝負しようとは思っていませんので、普通に植えられた木の中から、より良い木を選ぶことが大事な仕事になります。

私たちの仕事は、先人が植えた木を吟味しながら伐採させていただき、そして新たに木を植え、いい木に育てあげることです。
私たちが原木を供給している小嶋工務店では、TOKYOWOODを実感していただくバスツアーを行っています。そのバスツアーでは、そのような私たち林業家の気持ちのこもった木と、製材所のこだわりを説明させていただきます。
次回は2017年4月22日に開催します。もし、新築をご検討中、または家づくりに興味のある方はぜひ参加してみてください。檜原村の食材を使ったお昼ご飯もオススメですよ。弊社のHPを見てご成約の方には素敵なプレゼントもありますのでお楽しみに!

私たちはこれからも「私たちの仕事で誰が喜んでくれているのか」そのような顔の見える仕事をしていきます。
伐採シーズンも間もなく終わります。
少し寂しくなりますが、最後まで安全第一でいきたいものです。

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