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土地と酒

2月に訪れたチェコ、ドイツのことは徐々に記憶の彼方へと薄れがちですが、先日ふと思い出したことがあるのでお話ししたいと思います。

もともと旅も好きだし、酒も好きなタイプです。必然的に旅先では、その土地の酒を求めます。それぞれの地域で酒のタイプも変わってくるので、その違いを感じることは旅の楽しみのひとつです。

例えば、今年の3月に訪れた新潟の日本酒の特徴は淡麗辛口。新潟の豪雪による綺麗な空気のおかげでこうじ菌や酵母がよく育ち、きめの細かい素直な酒に育つそうです。新潟の古町周辺は安く郷土料理を出す居酒屋も多く、その土地の料理に舌鼓を打ちながら新潟の地酒をいただく時は幸せオーラ全開です。居酒屋でも様々な地酒を揃え、客の好みに応じて酒を選んでくれます。飲み比べセットなんていうのもあったりして、日本酒好きにはたまらない土地。新潟の人々も淡麗辛口の日本酒に誇りを持っていて、清酒達人検定なる資格制度もあります。(ちなみに僕は銅の達人です)

新潟人は新潟の日本酒をこよなく愛していることが伝わる酒屋さんの店構え。

チェコやドイツでは、ビールとワインによく出会いました。ビール天国と言われるくらいですから、ビール好きにはたまらない国です。しかも期待以上だったことはそのビールがその土地でつくられていることが多かったこと。むしろその店で作られていたりすることもあり、なんとも言えない愛おしさ。町の裏山にはぶどう畑もあったりして、その土地でつくられたワインも飲むことができます。

個人的には美味ければ細かいことにはこだわらないタチですが、こだわるとしたらその土地のものを食べて飲みたいということ。
その土地のものを食べたり飲んだりするということは、まさにその土地を知ることにつながると思うからです。

ドイツ人も地元の酒を愛しているようで、その説明する姿からは誇りすら感じられました。

ドイツのビール。何杯飲んでも飽きがこない。お店ごとに味も変わり、どこでも安定の美味しさ。

私が暮らす檜原村で地酒といえば「喜正」。野崎酒造さんが醸している日本酒です。酒蔵はお隣のあきる野市ですが、檜原村のすぐ近所ですので、まさに地酒と呼べるお酒です。
檜原村で働くようになってからもっぱら飲む酒は喜正になりましたが、これがまた美味いのです。いつでも村内の酒屋さんや近くのコンビニでも買える手軽さもあり、まさに愛飲しています。
野崎酒造さんは蔵元杜氏。社長自らが酒造りに携わります。山のことでお話しすることも多く、まさに作り手の顔が見える酒ということになります。しかも昨年からなんとその野崎酒造でうちのカミさんまで働きだしましたので、顔の見えるどころではありません!!

この春は、喜正を飲みながら檜原村で作ったのらぼう菜やたけのこ、山菜などの料理を食べています。そして、住んでいる家も檜原村の木を使っています。すべて作り手の顔のが見えるそんな生活。こんな幸せなことってあるでしょうか。ドイツにも負けないような素敵な生活がここ東京にもあるのです。

地酒「喜正」
旨口の素晴らしい酒です!
毎年新酒の時期が楽しみです。 ちなみに木箱は「ABOX」。

うまい酒のあるところにはうまい水があるということになりますので、もちろん水を育む森も重要です。
私たち林業家は、森を育てながら酒造りにも一役買っているのかなと思うと、よりその酒が愛おしくなりますね。
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