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「木育」とは

先日、埼玉県秩父市で木育サミットが行われました。木の親しみ、木を活かし、木と共に生きていく「木育」の活動を、多くの人に知ってもらうことが目的でした。
全国から約400人の方々が集まり、全国で行われている「木育」について意見交換がなされました。
弊社では創業当初から林業をもっと身近に感じてもらいたいとの思いからツリークライミングなどに取り組んできました。
最近、「なんで木育に取り組むのか」ということをよく聞かれます。今回はその内容について少しお話ししたいと思います。
 
 
先月訪れたドイツでは、おもちゃの村ザイフェンを訪れた際に少し時間が空いたので、丘の上へとつづくなんてことない田舎道があったので登ってみました。
登って行くとちょっと気持ちの良さそうなところにぽつんとベンチが置いてあったんですよね。
まるで「ここがオススメだから座ってみろよ!」と言わんばかりに。
で、せっかくだからと座ってみると、やっぱり気持ちがいいんですよ。

眼下にはザイフェンの街並みと風車の立ち並ぶ景色が一望

檜原村にある会社の事務所も狭い生活道を上っていった山の上にあり、たまに海外から来た人がふらっと歩いてきて、どこいくのかなと思っていると、ちょっと見晴らしのいい場所で2時間でも3時間でも過ごしている。本を読むでもなく、弁当を食べるでもなく、ただボーっとしている。

そんなことができるって素晴らしいと思うんですよ。
もちろん、街の公園のベンチでなら誰でもできると思うんですけど、森に入って同じように過ごせるかというとなかなか難しいかもしれません。
せっかく森に来たんだからもっと何かしなくっちゃとか考えちゃったりして、結局ジタバタして疲れちゃうみたいな。
日本の面積の約7割が森林ですから、誰でもちょっと足を伸ばせばそんな自然の中に身を置くことだってできるんです。
ぼくはやはり自然体で森の中でぼーっとできるような人を育てていくことが「木育」なのではないかなと思っています。
 
今日本にある森林の約半分は戦後植えられたものですから、その木も今の子ども達が大人になる頃には樹齢100年の森になります。
私たちはその森林の手入れを続けているわけですが、その手入れが間に合ったとするならば、あと30年ほどで日本中に美しい巨樹の森が広がることになるわけです。
その森林の有形無形の恵みを享受するためには、子どものうちからトレーニングしておかなくちゃいけないわけです。トレーニングというと難しく聞こえるので、慣れておくといったほうがいいのでしょうか。

有形のものであれば、子どものうちから木のおもちゃや遊具で遊び、子どもの過ごす空間を木質化することで、本能的に木の良さを感じてもらうことも大事だと思いますし、
無形のものであれば、ツリークライミングで樹上の世界を楽しむもよし、森で枝を拾って無邪気に遊ぶのもよし。
ただ、木のある空間が気持ち良いということを感じてもらえたらいいのかなと思います。
 
将来にわたって日本が経済大国であり続けるのだとしたら、ストレス社会はまだもう少し続くだろうと思います。
日本には豊富な森林があることで、水資源もあり、肥沃な大地もあり、海も豊かなので生活に困ることはないから安心して経済活動に専念できるのかなと思います。
このような国は本当に貴重だと思うんですよね。
まるで映画館や美術館に行くような感覚で、森に入ってぼーっとリフレッシュできるような人がひとりでも多く増えるといいなと思います。

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